2017年 3月4,5日 八ヶ岳(天狗岳)

初めての雪山テント泊で八ヶ岳の天狗岳へ行ってきました。
渋ノ湯から入って黒百合平でテント泊して天狗岳に登るルートです。東天狗岳への登りでは急傾斜と岩に苦労しましたが、山頂からは素晴らしい雪山景色を楽しめました。しかし、北アルプスなど遠くの山は少しかすんでいたのが残念です。
しかし、今回の歩きの眼目は重いザックを背負っての歩きです。比較的短い距離だったのでなんとかなったのですが、肩と腰にずっしりと重いザックが堪えました。私にはこれ以上の距離は無理のようです。
Yさんから写真をいただいたので使わせてもらいました。
3人旅です。

東西天狗岳の勇姿。

ルート数値
1日目 距離 8.0Km 累積標高 +1,230m -690m 所要時間 5時間15分(休憩込、テントサイト時間除く)
2日目 距離 6.7Km 累積標高 +300m -850m 所要時間 3時間40分(休憩込、テントサイト時間除く)

行程
1日目 渋ノ湯9:25 – 11:50(黒百合ヒュッテ)13:05 – 13:12 中山峠 – 14:10(東天狗岳)14:25 – 14:43(西天狗岳)14:50 – 15:55黒百合ヒュッテ
1日目 黒百合ヒュッテ6:00 – 6:08中山峠南6:15 – 7:28中山7:35 – 8:10黒百合ヒュッテ9:40 – 11:10渋ノ湯

ルート図(国土地理院 承認番号 平22業使、第453号)
黒色が今回歩いたコース

経過
この歩きは1月に計画されていたのですが、前夜になって私の都合で急遽中止になってしまいました。その再チャレンジです。
雪山テント泊としては残雪期に同じく八ヶ岳の白駒池で経験していますが、その時は重いザックを背負っての移動は近くの駐車場から湖畔までの約20分でしたので、本格的な雪山テント泊はこれが初めてになります。ですから装備の準備とザックへのパッキング試行で結構大変でした。
装備の追加では、まず冬用寝袋を購入しました。いままで持っていたのは冬用でないので晩秋などは、寝袋カバーや厚めのシートなどを重ねても寒い思いをすることがありました。それで追加購入することしたのですが、今度のはリミット温度-12度です。おかげで、なんとか寒さをしのぐ事ができました。
またザックも大型のものを購入しました。今までは60リットルだったのですが、同じメーカーの75リットルのものを購入しました。今回多少の外付けは発生しましたが、満足できるザックでした。今回、このザックを背負って歩いたのは片道3.5Kmぐらいの短い距離でしたが、かなり堪えました。多分、私にとってこれ以上大容量のザックは担げないでしょう。このザックで間に合う範囲の山歩きにしようと考えています。

5時に小山を出発。蓼科周辺まで来ると日当たりの悪い道路では、雪が轍になって残っていました。渋ノ湯直前の登りは凍結していると危ないと思います。丁度バスが下りてきましたが、バスもチェーンを巻いていました。8:30頃に渋ノ湯に到着。事前にネットで確認していたので、宿の前に停車して先に受付を済ませました。すると女将さんが一番奥の駐車場までサンダルで凍結した道を早足で歩いて場所を指定してくれました。かなり慣れています。ネット上ではいろいろと書かれていますが、私たちにはずいぶんと愛想良く対応してくれました。料金は2日なので2000円でした。本当は1日と数時間なのですが。

宿の前はきれいに除雪されていますが、その先の道は雪たっぷりです。ここでアイゼンを装着しました。奥に見えるのが中山です。

細い鉄製の橋を渡って山道に入ります。橋の手前に登山ポストがあったので計画書を入れました。(Yさん撮影)

最初はジグザグに標高を上げていきます。

約1時間頑張って歩くと傾斜が緩やかになってずいぶんと歩きやすくなります。標高2120m付近です。

唐沢鉱泉への最初の分岐。

唐沢鉱泉への2つめの分岐。

先頭をゆくリーダーのYさん。スノーシューも担いでいますが、使うことはありませんでした。ボッカ訓練です。

しばらく進むと、左側尾根の樹林が薄くなって、やがて黒百合ヒュッテに到着しました。

途中3回休憩しましたが、ほぼコースタイムどおりにヒュッテに到着できました。積雪はありますが、踏み固められていて、凍結している箇所はないので非常に歩きやすかったです。ただ、ザックの重さが腰に堪えましたが。
黒百合ヒュッテ。

まだ早かったのですが、テント場にはすでに何張か張られていました。少し先の前夜テントが張られていたと思える踏み固められている場所を選びました。ちなみに料金は一人1000円。トイレ使用料込みです。
私たちのテントは4-5人用のテントで山岳会からの借り物です。冬用に内張が使えます。
雪上へのテント設営なので、ペグを十文字にして雪の中に埋め込んで細引きを張ります。私は深く掘りすぎて翌朝掘り返すのに苦労しました。
設営完了後のテント(Yさん撮影)

天狗岳へは翌朝に登る予定だったのですが、まだ早いので、その日のうちに上ることにしました。
小さなザックに防寒具・食料などを詰め込みました。私のザックは、ハイドレーション用のパックを入れる部分が取り外せて簡易のバッグになるのでそれを利用しました。目出帽をかぶって、ハードシェルも着込んで出発です。ヒュッテまではストックを使いましたが、ここからはピッケルです。
すぐ中山峠に到着。

峠を右に折れて数分樹林帯を進むと、天狗岳が見えてきました。東天狗岳へは岩があって厄介そうです。ルートは少しまっすぐ進んでから左の尾根に回り込んで登ります。

先ほど見た左の尾根を登っています。

左手に南佐久の山々が見えました。帰宅後調べると、白く見えるのは横尾山のようです。

時々強い風が吹くようになってきました。
強風に飛ばされて踏み跡がわかりづらくなっている箇所がいくつかありした。そのせいでしょうか、踏み跡がいくつか分かれて見られます。基本的には夏道同様に上れば良いのでしょうが、それがわかりづらくなっています。私たちも右に上ってしまい、左にトラバースしてルートに復帰した場所がありました。

すりばち池への分岐。

上の写真で左に見えているのは東天狗岳手前の岩山です。通常はその岩山は右に大きく迂回するようです。その踏み跡には気づいたのですが、少し下っていたので、私たちはその岩山に少し登ってしまいました。その時の登りと、迂回した方が無難だと気づいてそこから下りる時が今回のルートで一番怖かったと思います。

東天狗岳頂上への最後の登り。左後ろが間違って登りそうになった岩山です。後ろ正面は稲子岳の岩壁。(Yさん撮影)

東天狗岳頂上に到着。ヒュッテから1時間少々。

山頂からの展望。
南方向。硫黄岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳・編笠山が見えます。右奥に薄く南アルプスの山々が見えました。北岳も見えます。

南アルプスを少しアップ。

北西方向。澄んでいれば槍ヶ岳が見える方向なのですが。霧ヶ峰の車山しか見えません。車山の後ろに鉢伏山が見えます。この一日後に墜落事故が発生しました。

北側。蓼科山の山容は見事です。

西天狗岳。これから向かいます。私は風が強いので少しためらったのですが、下山してきた登山者の様子を見て行くことにしました。

西天狗岳への登り。東天狗からはかなりの急傾斜に見えましたが、予想したより登りやすい斜面でした。雪がある方が登りやすいのかもしれません。

西天狗岳山頂。(Yさん撮影)

南方向。東天狗からは隠れて見えなかった横岳・西岳が見えます。

西方向。中央アルプスの方向なのですがよくわかりません。

北方向。蓼科山。左に霧ヶ峰の車山。奥に美ヶ原が見えるのですが、北アルプスまでは見えません。

北東。中央右奥に浅間山。右下に「ニュウ」が見えます。

東。東天狗岳。山頂に数人のパーティがいます。その後南に下りていくのが見えました。

西天狗岳で眺望を楽しんでから下山しました。両天狗岳のコルで休憩後、東天狗岳の北西部のトラバースルートで「すりばち池分岐」まで行ってから「すりばち池」方面に下りました。急傾斜ですが雪があるので問題なく下ることができました。ただ、所々に岩の隙間で雪の薄い場所があるようです。
「天狗の奥庭上」だそうです。岩だらけの間を進みます。

振り返ると天狗岳が。左手に私たちが間違って上りそうになった岩山が見えます。

これが「すりばち池」なのでしょう。

ヒュッテの上に出てきました。急傾斜を下ります。

下る前に振り返りました。

急傾斜を苦労しながら上ってくる人がいます。テントが増えています。私たちのテントは一番右側なのですが樹林に隠れています。

団体さんが急傾斜地で滑落停止の訓練をしていました。写真では分かりづらいですがかなりの急傾斜です。この斜面は訓練適地だと思います。

テントに戻ってから、まず水作りです。Yさんが持参したガソリンストーブは使いづらいですが強力でした。

その後は、寄せ鍋を肴に、ビール・日本酒・コーヒーテキーラ・焼酎で酒盛りとなりました。
最後は鍋の残りにアルファ米を入れてリゾットです。
9時に片付けて就寝の準備。外にできると満天の星でした。月夜なのが少し残念でしたが。
テントは15張りぐらいか。

私は、山ではあまり寝ることができません。これはテントでも小屋でも同じ。
今回も数時間しか寝ることはできませんでしたが、最近は寝られなくとも苦痛には感じなくなりました。寝られなくとも横になっているだけでもいいやと気楽に思うことにしています。時々、うつらうつら状態になるのですが、風音などですぐに覚めてしまいます。

翌朝は4時に起きることになっていたのですが、その時刻を過ぎても、まだ起きる気配がないので寝袋で小さくなっていました。そのうち隣のテントで動き始めた音がします。それでSさんが目覚めたようです。私も起き上がりました。最後にYさんが起き出します。ヒュッテ前の温度計では-15°でした。

朝はラーメン。Yさんこだわりのベーコン、焼豚入りです。
5:30頃には出発したかったのですが、いろいろあって6時頃出発。中山峠の少し南で樹林の切れた場所に着いたとき、丁度日の出となりました。ギリギリセーフです。

その場所から見上げた天狗岳。今朝は昨日以上の強風です。山頂には雲もかかっています。昨日のうちに天狗に行っておいて良かった。

これから向かう中山。

途中、色々あったので時間がかかりましたが、やっと中山の展望地へ。

蓼科山方面。

北アルプスははっきりしません。

Yさん撮影の写真ではもう少しはっきりします。車山の後方に、槍ヶ岳・穂高がうっすらと見えます。キレットのへこみは分かります。

これもYさん撮影。中央アルプス方向です。空木岳から木曽駒ヶ岳が見えます。

天狗岳。

展望台は強風が吹いていたので早々に引き上げました。中山東の下りに戻ると東に展望が開けています。風も吹いていません。
浅間山方面。盆地を雲海が覆っています。Yさん撮影。

天狗岳。この双峰は良い感じです。

ニュウ方面。左後方は妙義の山々です。

中山峠南の展望台まで戻ってから見た天狗岳。ここからの眺めが一番か。

黒百合平に戻ってから、テントの撤収。
下山途中に、西に展望のきく場所があってそこから噴煙を上げる御嶽山が見えました。右に乗鞍が見えます。Yさん撮影。

ヒュッテから約90分で渋ノ湯に到着。肩・腰に堪える下りでした。
渋ノ湯で汗を流しました。1000円。冷たい鉱泉と暖かい温泉を交互に入ると体に良いというのですが、冷たい方には入ってられません震えがきます。でも冷戦にも2度入りました。風呂から出てからも硫黄の匂いがしていました。

帰路の途中、ネットで調べてそば屋に立ち寄りました。そばはおいしいのですが、一番人気らしいかき揚げは大きすぎて途中で飽きてしまいました。年配になると食べるものも気をつけないといけませんな。若者と同じには食べられません。

でも、さすが八ヶ岳。登山者が多いですね。年配女性だけのパーティもいました。雪山を楽しむには良い場所なのかもしれません。

腰、肩の疲労だけでなく、手があれてしまったのですが、2日目の朝に強烈な手の冷えを感じたのですがそれが影響しているのかもしれません。テントに荷物を置いて軽装で山に向かったのですが、カイロを持つのを忘れてしまいました。早朝の冷えで手が凍えてしまいました。
これだけでなくいろいろと失敗の多い山歩きでした。でも、天狗岳に登れて大いに満足しました。

今年は何度かテント泊の山歩きを予定しているのですが、少し考えを変えた方が良さそうです。いまさら体を鍛えることも出来ないでしょうから、今の体で歩ける山歩きを続けるしかありません。今回は約18Kgの荷物です。これを減らすのも課題です。減らせれば10Kmぐらいは歩けるかもしれません。
それが出来ないなら、テント泊は諦めて小屋泊にするしかないでしょう。

これからも雪山を楽しみたいと思いますが…….次回は小屋泊かな。

カテゴリー: 信越 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です