2018年 8月27-28日 北岳

南アルプス北岳に初めて行ってきました。私が登頂した中で最高峰です。上りは快晴、下りは曇り一時雨でした。下りでは転倒して軽傷を負ったこともあって、大いに疲れました。
7人旅です。
北岳バットレス。

ルート数値
27日:晴れ    距離 7.1Km 累積標高 +1,650m,-240m 所要時間 7時間45分(休憩込)
28日:曇り一時雨。距離 8.5Km 累積標高 +660m,-1,900m 所要時間 7時間45分(休憩込)

行程
27日:
広河原山荘6:00 – 6:30御池分岐 – 6:57 沢出合 7:07 – 8:49 二俣 9:07 – 11:45 八本歯コル 12:12 – 12:40 分岐 12:55 – 13:45北岳山荘
28日:
北岳山荘5:50 – 6:26 池山吊り尾根分岐 – 7:20 北岳 7:45 – 8:23 肩の小屋 8:36 – 9:02 小太郎山分岐 9:10 – 10:55 白根御池小屋 11:15 – 13:02 御池分岐 – 13:25 広河原山荘 – 13:35 広河原BS

ルート図(国土地理院 承認番号 平22業使、第453号)
黒色が今回歩いたルート

経過

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当初は北アルプスの白馬から朝日岳を周回する計画だったのですが、天気が悪くなりそうだったので、急遽、南アルプスの白根三山に行き先を変更しました。山中2泊3日の計画だったのですが、天気が悪くなったので1泊2日で下山して麓の旅館で1泊するという日和見山行です。7人の賑やかな山行です。
小山を9時頃でて、芦安の駐車場に着いたのは13時30分頃でした。八王子辺りで少し渋滞しましたが、特に問題なく着くことができました。芦安には無料駐車場がたくさんありますが、私たちが着いた頃は早いグループが下山した後なのでしょう、便利な第2駐車場に空きがあったのでそこに駐めることにしました。

芦安からはバスとタクシーのビンがありますが、料金は100円しか変わりません。9人乗りタクシーに全員乗って出発です。夜叉神峠にゲートがあって、そこで一人あたり100円の通行料を徴収されるそうです。林道の保守は大変な事業ですから100円は致し方ないでしょう。タクシー代と込みで1200円也。南アルプス林道は夜叉神峠まではグングン高度を上げていくのですが、その先はほぼアップダウンのない林道でした。ただ、深い谷の中腹をくねって行くので、カーブの多い、道幅の狭い林道です。トンネルも多いのですが、車1台分の幅しかありません。
約50分で広河原に到着。ビジターセンターはきれいな建物でトイレも清潔でした。

そこから約10分で広河原山荘なのですが、その間には吊橋があります。Kさん撮影。

広河原山荘に到着。初日は山荘に泊まりました。南アルプス市の市営なんですね。

奥側にはきれいなテントサイトが広がっていました。

ネット情報ではシャワーが使えるとあったのですが、故障しているようで使えません。夕食にはワインが出てきて少し期待させられましたが、残念な事に食事は私の口には合いませんでした。しかし、明日のために「食事じゃなくてエネルギー摂取だ」と割り切って、残さずにたべました。最近は「食事」を楽しめる小屋が増えているようなので、残念な気がします。

翌朝、朝食を済ませて、6時に山荘を出発しました。
沢沿いの道を上っていきます。

白根御池への分岐。

シラビソの多い樹林でした。

沢は急流です。出発時に水を1.5リットル持ちましたが、水は各所で取ることが出来ました。0.5リットルで十分だったかも知れません。

北岳方面からの沢との出合には丸木橋が掛かっていました。ガッチリ固定されていたので怖くはありませんでした。(前方からKさん撮影)

その出合で休憩。
正面には鳳凰三山が見えると思っていたのですが、地蔵岳は尾根の向こうに隠れるようです。正面は高嶺です。右にかすかに観音岳が見えます。

出合のすぐ先で大樺沢右岸へ渡ります。

するとすぐ北岳が見えてきました。

小さな沢をいくつか渡ります。この時に取水できそうでした。

先ほどの出合の辺りから樹木の高さが低くなってダケカンバなどの灌木が増えてきました。

右岸を約1時間歩くと、登山道はまた左岸に戻りました。

大樺沢の流れ。かなり水量が減りました。

15分ほど進むと日陰も減ってきました。

大きな岩がありました。プレートが埋め込まれていましたがよく見えませんでした。上から撮影。

まもなく二俣。上に人が集まっている場所が二俣です。トイレも見えます。

二俣のすぐ先、右俣を渡った所で大休止。
休憩後、左俣を登って行きます。傾斜がきつくなりました。日差しもきつい。

雪渓が残っています。

この辺りはもう少し早ければ見事なお花畑だったでしょうね。Kさん撮影。

ザレ場は嫌です。スベらないように慎重に。右上にバットレスが近づいてきました。

二俣から1時間20分ほど上った場所で再度休憩。かなり高度が上がってきました。鳳凰三山の向こうに八ヶ岳(赤岳)が見えてきました。地蔵岳の花崗岩の尾根が白く輝いていましたが、オベリスクは見えません。この辺りでもまだ沢は流れていて冷たい水を飲むことができました。

その上に日陰があったので再度小休止してから八本歯コルへの急登に挑みました。
その急登の大部分はハシゴです。

ハシゴは高度を稼ぐのでありがたいのですが、踏み板部分が丸木で、手摺りも掴むには太い丸木なので、バランスを崩さないように慎重に登りました。
右上にはバットレスが威容を見せています。

ハシゴの連続です。取付きにくいものもありましたが、しっかり安定していました。

ハシゴがない場所は岩場です。

約30分ハシゴと格闘してやっと八本歯コルに着きました。
標識の少し上に数人が休める場所があります。そこから、初めて間ノ岳・農鳥岳・北岳山荘を眺めることができました。
農鳥岳と間ノ岳。

富士山が八本歯の頭の右後ろで少し頂きを見せましたがすぐ雲にかくれてしまいました。

山荘を目指します。
八本歯コルからは、稜線上のハシゴ・岩場の連続です。

北岳。

もう少し上にトラバースの分岐があります。山荘は見えています。

岩場。

コルから約30分で、北岳山頂とトラバース道との分岐に到着。ここで小休止。

トラバース道の廻りは大きなお花畑ですが、花の大部分は最盛期を過ぎています。7月ならキタダケソウの見物に人だらけなんでしょうね。北岳山荘・間ノ岳・農鳥岳が見えます。

谷(北沢谷)。かなりの傾斜です。転がったら多分ハイマツに引っかかると思うのですが。積雪期は怖いでしょうね。

稜線にでました。この辺りは広い稜線の真ん中が凹んでいて、二重稜線になっています。

植生保護柵。キタダケソウ等を鹿から保護しているようです。鹿はこんな稜線まで来るんでしょうね。

やっと、北岳山荘に到着。

この山荘は定員150人なんだそうですが、土曜日にはひどく混雑するとか。1枚の布団に3人、ということもあるとか。でも私たちの泊まったときは平日だったので空きも結構ありました。でも100人ぐらいはいたようです。
荷物を整理してから、ビールを飲みながら休んでいると次第に雲がでてきました。食後、写真を撮ろうと外に出たときにはもう富士山も見えなくなっていました。諦めて部屋に戻ろうとした時に、「見えてきた~」という声。それで撮った写真。
中央に富士山がぼんやりと見えます。

農鳥岳方向。間ノ岳・農鳥岳はガスの中です。

北岳方面。八本歯コルは見えていますが。

明日の天気もかなり悪化が予想されます。間ノ岳・農鳥岳までの往復を計画していたのですが、悪天の中、3000m稜線を歩くのは嫌なので、北岳山頂を踏んでそのまま下山することにしました。

北岳山荘は混雑していなければ、いい山小屋だと思います。夕食にカレイの煮物が出ました。多分、小屋で調理した物では無いかも知れませんが良い味でした。トイレも清潔に保たれていました。
今回も、就寝時に睡眠導入剤を飲んだので、すぐ寝入る事はできたのですが、5時間後には目覚めてしまいました。もう少し長時間効果のある薬があると良いのですが。目覚め後は、半分眠って、半分目覚めている状態で横になっていました。

山荘の朝食は4:40から。その30分前に電灯がともりました。もちろん、私はその少し前に朝の準備を始めていましたが。朝食後、外に出ると、稜線はガスに包まれて眺望はききません。風もかなり吹いていました。
6時前に小屋前で集合写真を撮って、出発。

眺望は効きませんが、歩行に支障が出るレベルではありません。北から風が吹いていました。

分岐。地形図で調べると、トラバース道の真ん中辺りに行くらしいです。昨日そんな道を見た記憶がありませんでした。

岩場になりました。この辺りからは、霧が風で吹き付けられ、手袋が冷たくなりました。おまけに、クサリや岩は霧で濡れているので触ると手袋はますます濡れてきます。私は、その時、防水用の手袋を持っていませんでした。

その上で八本歯コルへの分岐がありましたが、写真は撮っていません。その先も岩場が続き、一部ルートの分かりづらい場所もありました。稜線歩きなので大きく迷うことは無いでしょうが、岩場なのでコースを外れると危険な目に遭うかも知れません。また、前から登山者が来るようになりました。肩の小屋に泊まっていた登山者なのでしょうが、荒天のなか間ノ岳まで行くのでしょうか。
小屋から約90分で北岳山頂に着きました。

地蔵様が祀られていました。

山梨百名山の標識。

山頂は結構広くなっていました。東側が低くなっているのでそこで休憩しました。山頂から1mぐらい低いからでしょうか、不思議に風が来ませんでした。

山頂からの下山も岩場が続きます。

両俣小屋方面への分岐がありましたが、通行禁止の看板がありました。
山頂から30分ほどで肩の小屋が見えてきました。

肩の小屋に到着。トイレを借りました。

風は少し弱くなりましたが、ガスは晴れません。

岩場を下ります。

小太郎山分岐に到着。登山地図では小太郎山の先にはルートがなく折り返しになるようです。多分、私が歩くことは無いでしょうね。
小休止。

少し傾斜のある下りです。まもなく、草すべりと右俣コースの分岐です。この辺りもお花畑だったようです。

下っているとき、少し雲が切れて天気が回復するかな?と思わせましたが、切れ間はすぐ灰色の雲に覆われてしまいました。
草すべりと右俣コース、どちらを下るか悩みましたが結局草すべりを下ることになりました。草すべりに少し入った広場で休んでいる登山者が数人いました。私たちも小休止。
草すべりは急な草地なのですが、登山道は岩場か石の多い道でした。

上の写真の約10分後に、私が岩場で転倒してしまいました。瞬時の出来事で気がついたら登山道に倒れていたのですが、どのように倒れたか、詳細は不明です。その岩場は何処にでもあるような高低差2mぐらいの岩場だったと思います。掴まれる木などはなかったと思います。簡単な岩場なので前向きにその下りようと足をかけた岩が何らかの理由で動いたようです。ストックでバランスをとっていましたが、支えることはできませんでした。擦り傷5箇所、打身5-6箇所、頭にコブ1個を負傷。Kさんが持っていた応急対応のスプレーで消毒してもらいました。大事には至らず、何とか歩くことはできましたが、転倒後は段差を下りるのがつらくなりました。少しでも衝撃があると左脇腹の打身がうずくのです。
今後は、段差のある場所はできるだけ、後ろ向きでしっかりと三点支持で下りようと思います。一時でも油断してはならないという事なんでしょうね。今回のことを教訓にしなくてはなりません。

転倒後は、一層、慎重に下りました。
下に白根御池が見えてきました。

見えてからもなかなか御池に到着しません。やっと到達。テント場になっているようです。

白根御池小屋に到着。Kさん撮影。

小屋で大休止。中を見ることはありませんでしたが、感じのいい小屋です。水も豊富で蛇口がありました。
ここで最後のエネルギー補給をして歩き始めました。
最初はトラバースの水平道です。木の根を越えるような小さなアップダウンがあるのですが、そのたびに打身がうずきました。
沢を渡りました。この沢は下で大樺沢と出会います。昨日休憩した出合です。

小屋から30分ほどで下る尾根に乗りました。そこからは急傾斜の尾根を下ります。帰宅後計測すると水平直線距離1Kmで高低差500mを下ります。ということは傾斜度は30°になります。もちろん、山道はまっすぐ下りるわけでは無くジグザグに下りますが。
途中から雨が降ってきました。脱いでいた雨具を再度着ます。雨で一層滑りやすくなった木の根、岩に最新の注意をしながら下ると、次第に筋肉痛が出てきました。必要以上に力をかけたんでしょうね。写真を撮る気力も無くなっていたようです。
無事、広河原まで下りてきました。バスターミナルには平日にもかかわらず大勢の登山者がバスやタクシーをまっていました。
1日早く下山したので、近くの温泉旅館に泊まる事にしました。タクシーで芦安に戻ってから近場の旅館に当たって予約を取りました。旅館ではゆっくりと温泉に浸かり、山小屋とは雲泥の差の食事を楽しんで、登山の疲れを癒やしました。翌日は三崎に回ってミニ観光しました。
今回の山歩きは私の転倒もありましたが、初日好天のなか大樺沢を登れたので良しとしましょう。次回は少し計画を変えて挑戦したいと思います。

カテゴリー: アルプス パーマリンク

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