新潟県阿賀町の御前ヶ遊窟へ行ってきました。1000mに満たない低山ですが、スラブ一枚岩を登るハイグレードハイキングとして有名な場所です。ルートはシジミ沢から遊窟に上って、井戸小屋山経由で大回りで下山するルートです。下山にはソウケイ尾根を下るのが多いようですが、それよりも歩きやすいルートにしました。
スラブの上りで危険な場所はロープを出してもらったので、案内図に記載されているコースタイムの倍近い時間がかかってしまいましたが、全員無事、遊窟まで登って、下山できました。
高所恐怖症の私でも歩けたのは、そのロープの存在に加えて、今回新調したアプローチシューズによるところ大です。岩の上ではフリクションが効いてほとんど滑らなかったです(当然完全ではありませんが)。
紅葉は素晴らしいですね。スラブ上の紅葉は見事でした。しかし、曇っていたので、陽に映える紅葉が見られなかったのが残念です。
9人旅です。
ルート数値
距離 11.4Km 累積標高 (+960m -960m) 所要時間 9時間00分(休憩込)
行程
駐車地7:00 – 7:06登山口 – 9:30 シジミ沢取付地点 9:50 – 12:30御前ヶ遊窟12:45 – 13:20尾根分岐13:35 – 14:10井戸小屋山- 15:15林道へ-16:00駐車地
ルート図(国土地理院 承認番号 平22業使、第453号)
鍬沢沿いの山道で、途中で左岸に渡ったような軌跡になっていますが、最初の渡渉からシジミ沢取付まではずっと右岸を歩いています。GPSの捕捉エラーと思われます。深い谷を歩くときに時々発生します。
経過
前日に、登山口近くまで行って、バンガローに泊まりました。深夜、かなり雨が降ったのですが、朝には止んで曇りになっていました。
登山口近くの、路肩に駐車。すでに駐車している車がありました。近くでテントを張っていたようです。そのグループより先に出発しました。
入口の標識。
数分で登山口に到着。「上級者向けの山」となっていますが、果たして私は上級者でしょうか?
最初の渡渉です。深夜の雨で水量が増しています。踏石を置こうとしても流れに力があってうまくいきません。
少し上流に渡れそうな場所があったのですが、全員が渡れるかどうかは疑問があるということで、靴を脱いで渡りました。非常に冷たい流れでした。
今回この山行に参加を決めてから靴を新調しました。このコースのスラブを登るには登山靴よりアプローチシューズが良さそうだと思ったからです。ネット上には、様々な靴で登った記録がありますが、自分なりに調べた結果アプローチシューズの購入を決めました。渡渉後、その靴で濡れた岩、苔の上などをいろいろな角度で踏んでみて、今までの登山靴より滑らないことを実感しました。
渡渉地点の少し上で、駐車地で会った4人グループに先を譲りました。遊窟から山頂に行ってソウケイ新道で戻るそうです。
そこからの山道は、鍬沢の右岸を進みます。道は次第に細くなっていきます。細いのはいいのですが、スラブが露出している場所では滑ると谷底まで滑落しそうです。でも私の新しい靴は滑りません。自信を持って進むことができました。
ルートは落葉で踏跡のわかりづらい場所がありますが、シジミ沢までは右岸を進むだけなので迷うことはありません。所々にピンクテープもあります。
対岸の尾根がソウケイ尾根です。復路にその尾根を戻るグループが多いようです。今日あった2つのグループもそうでした。
御前ヶ遊窟の大岩が見えてきました。真ん中の大岩の下に遊窟があります。
シジミ沢の取付が見えてきました。私は最後尾を歩いていたのですが、先の人たちはすでに対岸に渡っています。
水量は多いですが、なんとか対岸へ渡渉できました。魚留の滝です。
そこで、ヘルメット・簡易ハーネスを準備します。エネルギーも補給して遊窟直下の上りに挑戦です。最初は岩の間を登っていきます。岩は濡れているので滑りやすくなっています。靴が滑って難渋している仲間もいましたが、私の靴は滑りませんでした。
20分ぐらい登ると岩は消えました。スラブの始まりです。深夜の雨で少し流れもあります。
スラブは足場を見つけながら中央を登るか、トラロープがあればそれを使って登ります。それができないときは、右側の藪や草に捕まって登ります。
危険な場所にはリーダーがロープを用意してくれました。
私は最後尾なのでロープ類を回収しながら登りました。慎重には登りますが、足の安定感がいつもと違います。
少し登って傾斜の緩い場所で休憩。そこから見下ろしました。まだ傾斜は緩いのですが、滑ったらと思うとぞっとします。
まだ半分しか登ってきていません。見上げると岩峰と紅葉。これから傾斜が厳しくなります。
このあたりは岩に凸凹があって歩きやすいのですが傾斜はかなりあります。
岩の厳しいところは藪を通ります。すべてピンクテープが案内してくれます。
3~4mカニのヨコバイで右に進みます。写真は通過後振り返ったものです。
傾斜の強い場所を登ります。トラロープが頼りないので、ロープを張ってもらって、ブルージックで確保しながら登ります。
順番待ちが発生してしまいました。
左上を見上げると、ロープを登ってからのトラバース経路が見えました。紅葉に沿って遊窟へトラバースします。
トラバース経路は薄い藪の中なので少し恐怖感は和らぎますが、足元の頼りない場所はあります。またルートのわかりづらい箇所がありました。
やっと遊窟に到着。ひとまずホッとしました。
そこは、転落したら奈落の底です。リーダーがロープを張ってくれました。写真の右側の岩壁を登ることになります。
ロープを張ってもらう間に周辺を見渡しました。少し日差しがでてきましたが、すぐ曇ってしまいました。
遊窟の上の岩壁です。
転落したら落ちることになる斜面です。じっくり見ると吸い込まれそうになるので、適当にシャッターを押しました。
無事、尾根にたどり着くことができました。危険地帯を通過できたことでどっと疲れがでてきました。結局、遊窟の山頂へは行きませんでした。
井戸小屋山へ向かいます。
トラロープがあるのですが、当てになりません。縛ってある木が腐りかけてました。
井戸小屋山への最後の上りは急な岩場でした。上部の岩が浮いていて危険でした。できるだけ左を登りました。
急な下りもあって、ここでは何人かが滑って転びました。でもここで転んでも泥で汚れるぐらいで命には別状ありません。
私はここでは転ばなかったのですが、もっと緩いところで転んで一回転してしまいました。
林道はすぐ舗装道になりました。実は舗装路を歩いていてまずいことに気づきました。私のアプローチシューズはソールが薄いので硬い道を歩き続けると足にこたえるのです。林道歩きが長いときは替えの靴を持ってきたほうが良さそうです。そう考えると面倒な靴です。
その林道は通行禁止だったようです。逆から来たのでわかりませんでした。ガードレールもなく整備されていないというのが禁止の理由のようです。
車道を約20分歩いて駐車地に戻りました。足裏には豆ができそうになっていました。まだできていませんでしたが。
ちょうど9時間の山歩きでした。案内図によると、コースタイムは、シジミ沢への取り付きまでが1時間15分、遊窟までの上りが1時間30分だそうです。私たちは倍近くの時間を要してしまいましたが、無事下山できました。リーダーのロープワークに感謝です。この場所でロープがなかったらと思うとぞっとする場所がいくつかありました。あまり無鉄砲なことはしたくないしできません。
大半のメンバーは二度と来たくないと言っていました。私も同感です。
スラブの紅葉は御神楽岳で見たいと思います。蝉ヶ平コースで。それは止めといたほうが賢明かな。
下山後は、七福荘で汗を流しました。いい湯でした。増量サービス中のざる蕎麦を食べてから帰路につきました。
帰宅したのは9時過ぎです。