錫ヶ岳に行ってきました。錫ヶ岳というと菅沼また湯元から往復約13時間。それを、丸沼ロープウエイ頂上駅から往復7時間30分で行ってきました。少しズルをしたような気分ですがとにかく錫ヶ岳に行ってきたのは事実です。
山岳会のKさんとの二人旅です。
このコース、ネットには結構山行記録が載っています。国道脇から進入するのが多いようで、私も当初はそうするつもりだったのですが、駐車場所をどうするかで悩んで止めてしまいました(1台は充分駐められるのですがそれ以上は叱られそうです)。安心して駐車できる場所という事でロープウエイ使用に決まりました。
このルートは基本的には河原歩きなのですが、水場までの上り下りがかなり面倒な部分です。それには沢コースと尾根コースがあるのですが、沢コースは上りだけにした方が良さそうです。私たちも、上りは沢、下りは尾根にしました。
久しぶりに芍薬甘草のお世話になりました。帰りの沢で脚がケイレンをおこしそうになったのです。薬のおかげで最後まで無事歩く事はできましたが、歩き終えた時は、脚は大笑いを始めそうでした。
最近月に2回程しか歩いていないので、歩かないときのトレーニングを考えた方がよさそうです。かなり前から登山用の体力を作るテキストを読んだりしているのですが、まったく実行できません。最近も「登山ボディの作り方」を購入したのですが、実行するには至っておりません。要するに運動嫌いの本性がむき出しになってしまうのです。
ルート
ルート数値
距離12.2Km 標高差 (+1,004m, -1,004m) 所要時間 7時間35分(休憩込)
行程
RW頂上駅-(20分)-大広リフト下-(10分)-大広河原-(25分)-取水池-(30分)-出合-(30分)-取付-(35分)-水場-(55分)-錫ヶ岳-(40分)-水場-(30分)-取付-(30分)-出合-(25分)-取水池-(20分)-大広河原-(10分)-大広リフト下-(40分)-RW頂上駅
赤:往路 青:復路
経過
7:00頃、丸沼ロープウエイ駐車場に到着。すでに大勢の登山者が待っていました。車のナンバーを見ると、栃木・群馬の地元だけで無く、茨城・千葉・東京などが見受けられます。大部分が白根山への登山なのでしょう。錫ヶ岳へ向かったのは私達だけでしょう。もし錫ヶ岳へ向かうなら2時間ぐらい前には出発していると思われます。登
山準備をしてチケット売り場のシャッターが開くのをまちました。 ロープウエイは運転準備中でした。ロープウエイは営業していないときはゴンドラはぶら下がっていないのですね。ですから、準備中の時にゴンドラをどんどん送り込んでいきます。そのスピードが速いのです。あんなに早いと怖いなあと思っていると、次第にゆっくりとした動きになりました。すると、頂上からのゴンドラが下へ戻ってきました。送り込んだゴンドラがロープ上に満たされたようです。
7:30に乗り込みました。約15分の空中旅です。
頂上駅にて
白根山です。曇っています。
ゴンドラの先に見えるのが四郎岳です。左手はなだらかですが、右手は急勾配です。その右手には燧ヶ岳が見えています。左手奥は至仏山です。西方向には武尊山が見えています。雲海の先の山は不明ですが、曇りにかかわらず随分と遠くまで見渡せます。
頂上駅から南西に大広リフト下へ向かう予定だったのですが、駅の周りは鹿除けのネットで囲まれていました。「ええ、行けないの?」と思いましたが、心配無用でした。作業道路が山麓まで延びているのですが、そこがゲートになって脱出することができました。
取水池まで
最初はゲレンデを下りておきます。「一眼レフの充電を忘れた」とぼやいていたKさんの後について歩いていきます。しかし、Kさん、予備のカメラを持っていました。さすがです。
リフト下に回り込んで、アカバナシモツケソウの群落地を下ります。
リフト下からは緩やかに林道を下って、大広河原に下りました。広い草地がありました。
ここから南東方向に延びた林道を進みます。沢には水は流れていません。道の両脇はアカハナシモツケソウだらけです。
2つ目の砂防ダムは写真を忘れて逆方向からです。水が流れていないのにダムは土砂で満杯です。洪水の時は激流に大化けするのでしょうね。
林道はなくなりましたが、水の流れていない沢の真ん中が道のようになっています。
取水池です。車はこの手前まで来ることができるようです。この沢には砂防ダムは7つあるのですが、取水池までに2つ、この先には5つあります。ちなみに、取水池は地図には表現されていません。せき止めているのが沢の一部だからでしょうか。 ここは正式には「取水池」ではなく「沈砂池」なのだそうです。
3つ目のダムです。ちなみに、ダムは右または左のどちらかに踏み跡が見られて越すことができました。
4つ目のダムです。ここは、岩礫が堆積していて歩きづらくなっていました。
最後のダムを越えて5分ぐらい進むと、沢出合になっている場所に着きます。ここは右の沢が本流です。右に進みます。
所々にケルンがあって、道を教えてくれます。テープも少しあります。
かなり上ってきました。沢の向こうには錫ヶ岳への登り斜面が見えています。
水場への取付地点です。この手前には沢出合いがあり、右側が本流で水流が多く、左側は水がありません。そこを左に入るとすぐ取付地点です。この辺りには、「突起した」目立つ岩があったようなのですが、見当たりませんでした。人が積み上げたような岩の堤防があります(激流が作った自然堤防と説明しているサイトもあります)。 沢下流方向には四郎岳と燧ヶ岳が見えます。
この取付からは沢をツメるルートと尾根を行くルートがあります。尾根ルートはピンクテープの所を左奧に上っていきます。
上りは沢を往き、下りは尾根を下りることにしていました。取付地点では沢は2本ありますが、左側の少し広い方を進みます。尾根ルートの横の沢です。 沢は次第に狭くなってガケの崩落している箇所もいくつかあります。
よく写真で紹介されている場所に着きました。この細い沢を上ります。水流はわずかでした。両脇にしっかりとしたホールドがあるので危険ではありませんが要注意です。 次第に傾斜が大きくなって、ザレている場所がありました。ここが一番面倒な場所でした。上ってから見下ろしました。
倒木も多くなって先を行くKさんが隠れてしまいます。石も浮いたものが多くなります。
少し歩き安い場所を求めて右(左岸)に廻りました。多少歩き安くなります。
また沢に戻って少し上って水場に到着。飲んでみましたが、味はよく判りませんでした。少しはなれた場所もパイプがありましたが、そちらは涸れていました。
数分でテント場に到着。狭いですが多少は張れそうです。たき火の跡がありました。ここにザックをデポして錫ヶ岳に向かったパーティがあるようです。ふと、熊が見つけたらどうなるのだろうと思いました。
ここから錫ヶ岳までは、踏み跡の明らかな場所もあるのですが、踏み跡の薄い、また判りづらい場所も多いルートでした。迷い込むような場所はないでしょうが、ルートを外れると途端にスピードが落ちてしまいます。必死にルートを探しながら歩きました。
踏み跡が笹に隠れています。しかし、このルートはかなりテープが多いので頼りになります(ピンクテープは新しいものでした)。このあたりで本日最初の登山者に会いました。夫婦二人連れです。
左が笹、右が樹林の尾根を上っていきます。ルートは笹から樹林帯に入っていきます。
振り返ると男体山、中禅寺湖。 男体山から大真名子、女峰・帝釈。女峰・帝釈が双耳峰のようにみえます。左の丸い山頂はP2394(白桧岳)でその右に少し見えているのが白根隠山のようです。
この先で、5名の中高年のパーティに会いました。水場上のテント場にザックをデポしていたパーティでした。何と、3時30分に菅沼口を出たとか。11時に錫ヶ岳に到着して18時までには下山したいと言っていました。なんというバイタリティ。
標高2300mあたりで、北側に会津駒ヶ岳のなだらかな尾根が見えました。手前は、左が燕巣山、中央が物見山、右が鬼怒沼山のようです。
見事なプレートです。こうしてみると銀山平まですぐ行けそうです。でもここからでも少なくとも1回は野営しなくてはならないのでしょう。果たして私がこのルートを歩くことはあるのでしょうか。
30分ほど休んで錫ヶ岳を後にしました。
かなり下りてきました。錫ヶ岳を振り返ります。
「錫の平」の先に至仏山。その左手奥に見えている残雪の山は巻機山のようです。錫の平あたりの情報は、増田宏さんの著作に少々と烏ヶ森の住人さんのブログにありますが、藪好きになりかけている私も歩く気にはまだなれません。実は今回の計画途中にそこを下山ルートにしようという話もでてきたのですが、次回と言うことで勘弁して貰いました。シラビソ低木の密藪など歩けません。誰か詳しい情報をアップしてくれると嬉しいのですが。
水場からは尾根ルートで下りました。水場の少し下に右に入る踏み跡があります。そこを辿ります。テープも多少あります。
かなり急傾斜の下りですが、困ったのは数カ所の崩落地です。シラビソの枝に掴まってなんとか通り過ぎることができました。通過してから振り返ります。10mぐらい下は上った沢です。
ここからは、沢というより河原歩きです。何度も徒渉しますが、濡れている石は苔が付いていて滑りますので、乾いた石を選んで渡ります。水量の多いときは流れに入る覚悟が必要でしょう。次第に脚に堪えてきました。「来そうだ」という前兆で芍薬甘草をのみました。
テンを見ました。金色の毛に黒毛が少し混じっているように見えました。カメラを出すまえに逃げてしまいました。すると2匹目が来て、これもすぐ消えてしまいました。カップルなのでしょう。カメラにおさめることができませんでしたが、良いものを見ることができました。
大広河原からの林道の上りです。私はかなり疲れていました。木陰で休むことにしました。
休憩した場所から見上げると、すばらしい白根山でした。青天になりました。
リフト下からはゲレンデを上ることにしました。 この上まで上るのか。 青天は良いのですが、日差しが厳しそう。途中で休んで振り返ると、錫ヶ岳・笠ヶ岳が見えました。
ゲレンデを上った所で、登山者夫婦に会いました。錫ヶ岳への上りで会った夫婦でした。なんと、仁加又沢から錫ヶ岳に上って(水場へは尾根ルートで上ったそうです)、白根隠山を経由して下りてきたそうです。なんという健脚。これから国道脇の入口に向かうそうです。「どういけば良いのだろう」と尋ねられたので、万一最終のロープウエイに遅れてスキー場を歩きで下ることになった場合の事を考えて用意してきたGoogleMapの航空写真を渡しました。
やっと、ロープウエイ頂上駅に着きました。くたびれました。 ロープウエイからは、先程の夫婦が作業道を下っていくのが見えました。旦那が随分と前を歩いて奥さんが追いかけていました。
そういえば、私は随分と妻と山歩きしていないなあ。せめてお土産でも買って帰るか。という訳で、日光で水ようかんを買いました。また、今市でKさんお薦めの「たまり漬けの素」を買いました。
花は後で追記します。
こんばんは。
錫ヶ岳に行かれましたか。
仁加又沢というのですか。何となく、そのルート知っていましたが、正直のところ邪道っぽい臭いがして、つぶさに調べたことはなく、ネットでも読み飛ばしで、みつまんさんのこの記事で、詳細を知ったようなものです。なかなかいいコースじゃないですか。いわゆる「錫の水場」に出るコースのようですね。今の私には、沢歩きというスタイルが、とにかく魅力を感じていますから、いい感じです。
ただ、こだわりなのですかねぇ。錫ヶ岳は確かに県境の山ですが、どうしても栃木県のエリアに入れてしまいたく、これは皇海山も同じなのですが、栃木側から入った方が、自分には登頂した満足度は高いですね。
今度、宿堂坊山の方にぬけてみてくださいな。踏み跡は薄いですが、マークだらけですよ。
ついでながら、芍薬甘草湯、私もお世話になっております。
コメントありがとうございます。私も邪道かなと思っていました。来年には白錫尾根から行ってみたいのですが。たそがれさんが歩いた手焼沢・長手沢が「沢登りの入門」とすると、こちらは「河原歩き」でしょうね。でも疲れました。
今は山に行く頻度が少ないので余計に堪えます。
みつまんさん、お久しぶりです。と言うより、実は、錫ヶ岳と水場の間で、お会いしていました。自宅に戻り、HP「みつまんの山歩きメモ」を見て、ビックリ!水場上のテント場にザックをデポしていた6名(→5名です)の中高年のパーティの内の1人が小生でした。お会いした時、Kさんの後ろにいたみつまんさんを見て、以前、日光の山でお会いしているように思えたのですが、小生、疲労困憊状態で帰りの数回の登りがキツイなぁと、それ以上、考える余裕もありませんでした。現場にて、ご挨拶もできずに大変、失礼いたしました。今後とも、どこかの山でお会いできたらと期待しております。
P.S. あの後、小生を含む5名の中高年パーティは、白錫尾根を通り、落伍者もなく14時間20分かかり、ほぼ予定どおり午後5時50分に菅沼口に戻ることができました。
宇都宮のAさんでしたか。私も完璧にお顔を忘れていました。失礼しました。「疲労困憊」とはいえ菅沼から往復されるとは健脚ですね。私も鍛えていずれは挑戦したいと思っているのですが。錫ヶ岳は初めてですが、白錫尾根ルート、山部ルートは歩きたいと思っています。またそのうちに会いそうですね。