旅行社のハイキングツアーで奥鬼怒へ行ってきました。奥鬼怒は、私が栃木に住み始めてから一度は行ってみたいと思っていた場所です。加仁湯一泊の行程でしたので、ゆっくりとした山行を楽しむ事ができました。
奥鬼怒温泉郷はかつてランプの宿として有名でしたが、20年以上も前に電気が通じ、女夫淵からもバスでの送り迎えもあるという一般的な温泉観光地になっています。しかし、林道のデコボコ道を走るバスは、まだ車検に合格できるのかな?というぐらいの古さで、それが秘湯らしさを醸し出しているようです。今時、なかなかあのデコボコ道は体験できません。都会の舗装道路しか経験のない人には是非体験して頂きたいものです。そして、加仁湯の社長さんへ。あのバスは大切にしてください。いくら儲かっても新車のバスにはしないで頂きたいと思います。
妻は久しぶりの山行です。上りを随分心配していましたが、ほぼコースタイムで無事歩くことができました。
奥鬼怒湿原ではたくさんの花を楽しむ事ができました。しかし、雲行きが怪しく、早めに下山してしまったので、湿原でゆったりとした時間を楽しむ事はできませんでした。是非次回の楽しみにしたいと思います。
花の写真はこちらにまとめました。
ルート
ルート数値
5日 距離4.6Km 累積標高差 238m(+666m, -428) 所要時間 1時間40分(休憩込)
6日 距離10.6Km 累積標高差 0m(+1,131m, -1,131m) 所要時間 5時間00分(休憩込)
行程(ツアーの皆さんと一緒ですからかなり遅い歩きになっています。特に5日。)
5日 女夫淵駐車場-(4分)-登山口-(14分)-乙姫橋-(32分)-二つ岩橋-(5分)-コザ池沢-(30分)-八丁ノ湯-(9分)-加仁湯
6日 加仁湯-(11分)-日光沢温泉-(15分)-丸沼分岐-(25分)-滝展望台-(80分)-湿原南端-(25分)-湿原北端-(5分)-避難小屋-(20分)-湿原南端-(70分)-滝展望台-(15分)-丸沼分岐-(13分)-日光沢温泉-(15分)-加仁湯
ルート図(国土地理院 承認番号 平22業使、第453号)
(2017.3.28ルート表示不可を修正。)
滝展望台からの湿原南端の間で行きと帰りでルートが大きく分かれています。実際はおなじルートなのですが、GPS観測データがずれてしまったようです。多分西側のルートが正しいように思うのですが詳細は不明です。また、日光沢と丸沼分岐の間にも、右岸を歩いたようになっていますが(「沼」の文字の上あたり)、実際は、日光沢を過ぎてすぐ左岸に渡ってからは左岸を歩いたはずです。谷を歩くときはGPSはかなり不正確になりますね。
経過
8月5日
(女夫淵-二つ岩橋)
女夫淵温泉の駐車場は、以前何度か紅葉シーズンに訪れたときは満車で駐車できないことも有ったのですが、今回は平日の為でしょうかかなり空いていました。ハイキングに不要な荷物を旅館のバスで運んでもらいました。帰りにはこのバスで、加仁湯・女夫淵温泉間を豪快に送ってもらうことになります。
駐車場から、鉄橋を渡ります。古い資料ですと、黒沢林道を少し進んでから橋を渡るルートや、スーパー林道の曲がりくねった道をしばらく歩いてから遊歩道に入るルートが記載されていることがありますが、今は、スーパー林道入口の橋を渡るとすぐ遊歩道入口になります。
遊歩道入口は鉄製の階段になっています。ビニール傘がおいてありました。
階段を上りしばらく歩くと、右に曲がります。
少し下ると、「鬼怒の中将乙姫橋」という吊り橋を渡ります。この名前についてはhttp://home.f07.itscom.net/rainbow/kinutyujodensetu.html に詳しいので、参照してください。このページには奥鬼怒沼についても逸話が紹介されていておもしろく読めます。
そこからは、川に沿って歩きます。川の水はすんでいます。
こんな岩の張り出している所もありますが、加仁湯までは危険と感じるところはありませんでした。
名前は分かりませんが滝も見えます。この流域にはたくさんの滝があるようです。
二つ岩橋に着きました。かなりの階段を上ります。ということは、この遊歩道は川が増水しているときは歩けないという事だと思います。
ここで一端、右岸に渡って、すぐ砥の岩橋で左岸に戻ります。
(二つ岩橋-加仁湯)
沢を跨ぐ小さな土橋を渡ります。沢は右から流れてきます。奥には滝が見えました(下の写真では白く見えます)。この沢はコザ池沢です。この沢を経由して奥鬼怒湿原に行く猛者が結構いるようです。この沢にはいくつも滝があります。私の山行予定には永遠に入ってこないルートでしょう。
八丁ノ湯に到着しました。見事なカエデです。紅葉時期にはすばらしい風景になるのでしょうね。
本日の終点、加仁湯です(写真は翌朝のものです)。
加仁湯は濁り湯です。白濁しています。美人の湯となっていましたが、たしかに肌がすべすべします。しかし、我妻が美人になったかどうかは微妙な問題です。料理は種類たっぷりでおいしかったです。久しぶりに冷酒を飲んでご機嫌になりました。特に朝食の「岩魚の一夜干し」は美味しかったですね。
8月6日
(加仁湯-丸沼分岐)
朝はすばらしい天気でした。湿原往復の案内人は加仁湯3代目社長だそうです。昨日も湿原まで往復したそうで、案内人としては頼もしい限りです。社長にこの秋の予約状況を尋ねると、例年では、週末休日の予約は早々に埋まってしまうそうなのですが、今年はまだ空きがあるそうです。ここにも、震災・原発事故の影響がでているようです。7:33加仁湯出発。
加仁湯・日光沢温泉の間は現在工事中です。何の工事かは不明ですが、立派な道ができるようです。秘湯の趣は残して欲しいですね。
この当たりの山はかなり脆い石で構成されているようです。工事で切り取られた斜面を見ると、よく登山道のザレ場でみるような石が崩れていました。
この工事をしている北側の斜面に、ニホンカモシカを見つけました。斜面でなにか草を食べているようでした。写真には撮れませんでしたが、貴重なものを見た気がします。
日光沢温泉につきました。奥鬼怒温泉郷の最奥の温泉地です。サイト情報では、旅館ではなく山小屋ということです。経営者のポリシーを感じます。ただ、これ以上奥に入らなかったので、チャング・わらびには合うことはできませんでした。「クレソンをとらないで」のポスターで見ることはできましたが。
奥鬼怒湿原へは下の写真の通路を通らせていただいて階段を上ります。写真右下の蛇口からは美味しい水がでいました。私も飲んでみましたが、美味しい水でした。
この階段を上ったところに、根名草山方面への分岐があるようなのですが、工事中で(斜面全体が工事中でした)よく確認できませんでした。日光沢温泉を上からみました。
地元の温泉神社です。朝は扉が閉まっていました。写真は下山時のものです。ここにも生活があるのだなと感じました。
おさおと橋を渡ってすぐノシ滝です。冬の氷結もみたいものです。
丸沼分岐標識です。
この標識を左に行き、下の写真の橋を渡ると、ヒナタオソロシの滝経由で丸沼へ行くそうです。いつか挑戦したいものです。
(丸沼分岐-湿原南端)
丸沼分岐からは厳しい上りになります。しかし、這い上るという感じででなはいので、日光白根山・外山尾根に比べると楽な上りでした。でも、ハイキングツアー参加者の一部にとっては厳しいものだったようです(平気にグイグイ登っていく年配者もいて驚きましたが)。たしかに、ハイキングとはいえないかもしれません。我妻も汗をびっしょりかきながら四苦八苦の上りになりました。
オロオソロシの滝展望台。
展望台からみたオロオソロシの滝。写真では判りづらいですが、かなり落差があります。写真真ん中の白い縦線から下の縦線までずっと滝です。
展望台から見た根名草山。中央の尖っている山は大嵐山(2304m)で、その右側が根名草山(2329m)です。この展望台からが本格的な上りです。
展望台から20分ほどの所にある急傾斜の谷を横切ります。水はありませんが、岩を越す必要があります。
こんな木が歩道を遮っていますが、カットされて超えやすくなっています。ただし、しっかりカット部分に掴まって越さないと、左側に転落すると大けが必定です。この木の先を見てください。歩道が広くなっているように見えますが、下はえぐれています。このルートで何カ所かで見られる光景です。歩道上でも安全ではありません。道を譲るときには気をつけたいものです。できるだけ山側を歩くようにしましょう。絶対に四股は踏まない方が良いでしょう。
傾斜が緩やかになってきますが、こんな道も歩きます。雨の時は歩きたくないところです。
あと少しで湿原です。
一気に樹林がきれて、湿原の南端に到着しました。ワタスゲのお迎えです。
湿原の先には、鬼怒沼山が見えます。木道を、花を楽しみながら北へ進みます。
尾瀬の燧ヶ岳が見えました。
アップします。残念ながら、すぐ山頂は雲に隠れてしまいました。
オタマジャクシがいました。どんなカエルになるのでしょうか。
湿原北東側の物見山(毘沙門山)です。
約30分弱で北端に到着。これを左に行くと大清水峠。右に行くと尾瀬だそうです。興味がそそられますが、本日はここで折り返しです。
避難小屋です。東京電力の管理小屋で、緊急の場合以外は使用禁止だそうです。ところで、湿原の木道には東京電力のスタンプが押されています。東京電力が管理しているということでしょう。今回の原発事故で奥鬼怒や尾瀬の管理がどうなるかも心配です。
小屋の中です。板でベッド状にしていますが、脚にしているブロックが壊れそうです。
北から南側を見ます。天候に恵まれると日光白根山も見えるのでしょうが、今日は雲の中です。
湿原にはたくさんの池があります。
池に写る鬼怒沼山。
案内人の社長に雨を尋ねると、「この雲の状態ではもう少し大丈夫でしょう」という事だったのですが、心配性の私は早く山を下りることにしました。湿原には約50分しかいなかったことになります。
湿原南端から加仁湯までは約2時間で下りてきました。途中、少し小雨が降りましたが、本降りになることは有りませんでした。
加仁湯で、温泉につかって汗と疲れを取り終えた頃に、どんどんツアー客が山から下りてきました。雨には降られなかったようなので、私たちももう少し湿原に留まれば良かったのにと思いましたが、後の祭りです。
加仁湯で休憩後、旅館のバスで女夫淵まで送ってもらいました。林道のガタガタ道の楽しいこと。その揺れの中でも何時しかうつらうつらしてしまいました。紅葉シーズンに再度訪れたいですね。でも、ネットで検索すると、冬に湿原を歩く人もいるとか..