2011年7月10日 赤薙山・女峰山往復

 梅雨明けの日曜日に、霧降高原から、赤薙山・女峰山を往復しました。2000mを超える山を歩いたのも初めてなら、雨(2時間の夕立・集中豪雨。この雨は山だけだったようです。麓では予報通り夕立の時間帯に降ったようです。)に遭遇したのも初めてでした。もし、これが夏でなかったら、またもし雨量が30mm/hを超えるものだったら(今回は10mm/hぐらいでしょう)、この「みつまんの山歩き」は終わっていたかもしれません。今回の反省を踏まえて、もっと安全確実な山歩きを続けたいと思います。貴重な体験をしました。反省点は後ろにまとめます。

天気予報では午後に雨があるかもしれなかったので、早めに歩き始めようと思いました。自宅を2:40出発。

ルート

ルート数値 距離14.6Km  標高差 0m(+1,685m, -1,685m)  所要時間 8時間30分(休憩込)

行程(あくまで私の気ままな歩きの結果です。)
 霧降第三P-(36分)-キスゲ平-(30分)-焼石金剛-(16分)-赤薙巻道分岐-(9分)-赤薙山-(56分)-奥社跡-(21分)-ヤハズ-(20分)-一里ヶ曽根-(9分)-水場-(38分)-2483峰-(3分)-女峰山-(3分)-2483峰-(44分)-水場-(11分)-一里ヶ曽根-(17分)-ハヤズ-(15分)-奥社跡-(44分)-赤薙巻道分岐-(13分)-焼石金剛-(21分)-キスゲ平-(38分)-霧降第三P

ルート図(国土地理院 承認番号 平22業使、第453号)

(2017.3.28ルート表示不可を修正。)

経過

(霧降第三P 4:40) すでに10台を超える車が駐車していました。釈迦ヶ岳のあたりから朝日が昇ります。良い天気です。 キスゲを見に来たハイカーが多かったようです。駐車場からもキスゲで黄色くなったゲレンデ跡を見ることができました。準備を整えて5時少し前に歩き始めました。

(登山口)  丸山登山口から登ります。登山口は駐車場からトイレ横の地下道で山側に廻るとすぐ、「大山登山口」よりも山側にあります。案内板の左側から登っていきます。 八平ヶ原への分岐です。この標識の近くに、キスゲを鑑賞するためのスペースが設置されていました。私は、キスゲの鑑賞は帰りにすることにして、コースを先へと急ぎました。
 キスゲ平までのコースは、一般観光客も多く利用すると思うのですが、かなり歩きづらい道です。昨日の雨でいっそう滑りやすくなっていました。キスゲ平で会った人によると夜8時頃まで降っていたそうです。その方は前夜から駐車場で待機していたそうです。

(キスゲ平)  これから向かう赤薙山がくっきりと見えます。それにしても、すばらしい緑と青です。崩壊地の茶色さえ程よい配色に見えてしまいます。地面は少しぬかっていました。 日光の市街が見えます。市街の右にポコッと飛び出した外山、市街の右後方には鳴虫山がそびえています。その右側の山々は古峰ヶ原に至る山々でしょう。この秋には歩く予定です。

北側の丸山です。右下にキスゲ平から登山口への降り口を示す看板があります。帰路でこの看板を見た時はほっとしました。

これから向かう赤薙山へは、笹原に刻まれた歩道を進みます。歩道と言うより水の流れるルートといえます。帰路では、このルートが濁流となりました。基本的には赤薙山荷向かって尾根を登るルートなので、ルートを大きくそれることはなかったのですが、小さくはどちらへ進めばよいのか悩む箇所がいくつもありました。ルートは幅広になってしまっているので致し方ないのでしょうが。帰路ではもっとも悩んだ場所です。写真の中央右下の標識が丸山分岐の標識です。
焼石金剛へ登っているとき、北西側を見ると、雲海が見えました。雲海の下には鬼怒川とその支流が流れているのでしょう。右側に丸山の先に高原連峰が見えます。その左側が那須連峰です。
(焼石金剛) 岩がごろごろしています。このような場所をゴーロ帯というのでしょう。当然ルートは明確ではありません。

焼石金剛から少し登ったところから、沢を見ると、笹原が続いています。かなりの傾斜です。
ルートは、笹原からコメツガの樹林帯へ入っていきます。

この樹林帯の内もルートははっきりしません。ハイカーが勝手に歩き安い場所を選んであるいているからでしょうか、幅広い範囲がルートになってしまっています。

(赤薙山巻き道分岐) 赤薙山を経由しない巻道があります。当然、赤薙山へ向かいます。帰路は巻道を利用しました。

(赤薙山) 私にとって、初めて2000mを超える山への登頂です。頂上には、赤薙山神社があります。本日無事に歩けますように祈願しました。
山頂には三角点もあります。
 赤薙山から奥社跡までは怖がりの私としては、「おっかなびっくり」しながら歩かなくてはなりませんでした。
まず、赤薙山から下りてきたところの狭い尾根です。
ここが一番の狭い尾根です。慎重に歩を進めます。また、2m弱の岩登りがありました。一瞬、たじろぎましたが、これは案ずるより産むが易しで、手と足、しっかりとホールド箇所がありました。50肩の私でも楽に上れました。帰りの雨の中で滑りはしないかと心配しましたが、無事下りる事もできました。

(奥社跡)

この標識の後ろにシャクナゲが咲いていました。

奥社跡から少し下りたことで見た花。名前は不明です(ゴゼンタチバナ御前橘?)。

奥社跡とヤハズの中間のコル。小さな湿地帯を形成していました。一里ヶ曽根の尾根でもいくつかこのような地形がありました。歩いていてほっとする場所です。

サラサドウダンツツジは大部分が花を落としていましたが、しっかりと残っている木もありました。シャクナゲも。
この花も名前不明です。
こんな花も。(コケモモ)
(ヤハズ) 一里ヶ曽根の尾根に取りかかったところが「ヤハズ」です。北側の展望がすばらしいです。
ヤハズからはこんな尾根道を進みます。狭い尾根もなくて、起伏も少なめで歩き安い尾根です。距離を稼げる場所です。

(一里ヶ曽根) 一里ヶ曽根は石がごろごろした場所です。曽根がどういう意味だろうとネットで検索してみましたが、「ギャル曽根」や「曾根崎心中」などは詳しいのですが、肝心の地形上の意味は検索できませんでした。岩波の広辞苑によると「そね」は「低く長く続いた尾根」という意味があるそうです。「低く」は当たらないかもしれませんが、ヤハズから2463峰の手前まで、起伏の少ない尾根が約一里続いているのでこのような名前が付いたのかもしれません。標識のある地点はその中間の眺望の良い場所です。
小さな祠があります。
南西方向です。いい天気なのですが、正面の雲は何かの前触れなのでしょうか。

女峰山の方向です。見えているのは2463峰で、女峰山はその向こうなのだそうです。
西側です。これから進む方向になります。中央に見える岩はユニークな形をしています。今回のコースの近くと思われますが、近寄れるのでしょうか。その右側には尾瀬の山々が見えています。まだ白く見える山もあります。
北側の眺望です。福島の山々が見えているのでしょう、詳細は不明ですが、飯豊連峰も見えているはずです。

少しの休憩後「一里ヶ曽根」から下りていきます。降り口の写真です。石がゴロゴロした歩きづらい場所です。
白い花が咲いていました。
一里ヶ曽根から下りるとすぐ、水場の標識があります。北に行くとすぐ見つかります。
水量は少ないです。雨の後なので飲むのはやめて、タオルをぬらして汗を拭きました。リフレッシュできますね。
水場からすぐ上で北西を見ると、いやな雲がでてきました。実は、ここで一瞬「雨がくる。戻ろう」と10歩ぐらい戻りました。しかし、まだ雲は一部で青空も広がっています。女峰まで続行することにしました。
ここから、2463峰までにはいくつか花を見ることができました。名前は後で調べます(ホソバイワベンケイのようです)。しかし、花の咲いているところはガレ場で傾斜のあるところでした。
コツマトリソウ?ツマトリソウ?どちらでしょうか。
ミヤマダイコンソウらしいです。
 2463峰の手前は、ガレ場で歩きづらい箇所が数カ所あります。一番ひどいところにはロープがあるので安心ですが、ロープのないところでも慎重に歩を進めなくてはならない箇所がありました。そこを登ると2463峰です。三角点があります。
 女峰山の頂が見えます。2463峰から女峰山までは、距離は短くて歩き安いのですが、ハイマツがコースにも這い出してきているので、昨夜の雫が残っていてズボンはびっしょりになりました。
ハイマツの花というのでしょうか、胞子の塊です。随分と赤いですね。

(女峰山) 念願の女峰山に到着です。祠の横では、男性ハイカーがコーヒーを飲んでいました。まず、頂上を確認します。岩を積み上げて標識が立っています。ところで、女峰山の標高はどの場所での標高なのでしょうか。少なくとも、この地点ではかさ上げがあるように思えます。ここで自分の姿を写真に撮ろうとして苦労しましたが、どなたですか?というオジンしか写りませんでした。安物の三脚は捨てて新しいものにしたいと思いました(とんでもない転嫁ですが)。
 山頂から帝釈山を見ます。男体山は雲に覆われていました。
山頂の下には祠があります。

 祠の横でコーヒーを飲んでいる男性ハイカーは格好の良い若者でした。志津のほうから登ってきたそうです。キスゲ平以降ハイカーに会っていませんでしたからほっとしました。暑いですねと声をかけると、タイツに半ズボン姿の若者は「この格好は結構涼しいですよ」と言う。私は、その格好をしている自分を想像して「やめておこう」と思いました。男性にカメラのシャッターをお願いしました。
ゆっくりしたいところですが、雲行きを見ると、そうはいきません。少し休憩すると帰路につきました。

帰路では写真はありません。経過だけをまとめます。

一里ヶ曽根までに、男性単独ハイカー2組と夫婦連れのハイカーに会いました。私以外にもこのルートを歩いている人がいることを知って安心しました。
一里ヶ曽根でも男性単独ハイカー2組と男女1組のハイカーに会いました。中に、益子から来たという方と少し話をしながら休憩を取りました。しかし、10分ぐらいで出発。

奥社跡までは早足で急ぎました。ヤハズあたりで、山の下がガスで見えなくなってきましたが、奥社跡に近づいてきたときからルートにも少しガスがかかってきました。
奥社跡では男性単独ハイカーが休んでいました。少し休みながら会話をしていると、ついに雨が降りはじめました。そこで、木陰でレインウエアを着ましたが、ここで失敗をしてしまいました。それは後でまとめて書きます。
奥社からは、狭い尾根を渡ったり岩を下ったりしなくてはなりませんでしたが、まだ、本降りにはなっていなかったので、滑らないように注意は必要でしたが、危ないと感じたところはありませんでした。
赤薙山の巻道を進んでいる頃から雨は強くなって来ました。コメツガ樹林帯を下っているときには、雨の強さは判りませんが、泥水が幾筋もの濁流になって流れ始めていたので、かなりの雨量になっているは想像できました。

雨の中の歩きで一番怖かったのは、笹原に出てからでした。
コースがよく判らないのです。GPSのトラックデータを見ると、焼石金剛のあたりで、方向を間違えそうになったのがよく判ります。これは、濁流を避けてできるだけ笹の上を歩こうとしたからでした。しかし、視界はまだ良好でしたから方向を大きく間違えることはないし、とにかく下るしかないのですから、濁流の流れているコースを進むことにしました。濁流も足を取られると言うほどでは有りませんでしたので、笹の上や、岩の上を進むより確実に進むことができました。以外と滑らなかったですね。濁流の下の赤い土はしっかりととらえることができました。多分、赤土の上に黒い土がたまると滑りやすくなるのだと思います。
雨は次第に強くなって来ました。雷までも鳴り始めたので、どこかで待避しようかとも考えましたが、近くに適当な場所がありません。低木がブッシュになったところがあったのでその下に潜り込もうかとも考えたのですが、このような所に長居するよりも、進んだ方が良いだろうと考え進むことにしました。少し、体勢を低くして歩きました。しかし、雷も栃木県の夕立にありがちな「しつこさ」が無かったので助かりました。この頃には、濡れるのには慣れっこになっていましたが、夏でなければ、体温の低下で厳しい状態になったかもしれません。
キスゲ平で降り口の標識を見たときはほっとしました。
しかし、キスゲ平からの下りはもっと大変でした。しかし、あと少しだということが判っていましたので、恐怖感はありませんでした。濁流は強くなって、その中を進むのはいやだったので、周りの樹林帯の笹原を木に捕まりながら進みました。本来はそんな場所を歩いてはいけないのでしょうが、勝手にご勘弁願いました。
途中、八平ヶ原の方向から団体のハイカーが現れて、その後に付くことができたのですが、その後に安心したのか2回ばかり尻餅をついてしまいました。
13:30駐車場に到着。約2時間の雨中歩行が終わりました。車に、ザックを投げ込み、レインウエア・靴を脱いで、暖房をつけました。この後、15分ぐらいで雨はやみました。帰路巡り会ったハイカーはどうしているのだろうと気になりました。結局、今回はキスゲ真っ盛りの霧降にきてキスゲを見ることなく帰ることになりました。

まとめと反省

  1. 雨を避けることはできなかったか。
    水場を過ぎてすぐ、雨を予感して戻りかけました。そこで、戻っていたら、30分ぐらい降られるだけですんだと思います。しかし、雨を避けるより雨の中をいかに安全に歩行するかを考えることも必要だと思います。古くから「ずくしは木に登らなければ食えない」という言葉もあるので、ある程度の危険は覚悟しないと良い収穫も無いと言うことで、今回は貴重な経験だったと思います。
  2. レインウエアは完全に着よう。
    これは、痛切に感じました。どうせ、ズボンは濡れているので、上着だけで良いだろうと、下ははきませんでした。帽子もそのままでした。笹原を歩き始めてから、そのミスに気づきました。
    パンツまで濡れてきました。帽子からも少し雨が下に伝わってきましたが、そこで、ザックを開くことはできませんでした。今後は、レインウエアを着ることになったときは、しっかりと着込みたいと思います。
  3. どこかで雨宿りをした方が良かったのか。
    これは笹原を進んでいる時ずっと考えていました。しかし、前に行くしかないと判断して歩き続けました。これにはいくつかの判定要素があると思います。それは、「避難場所」、「雨は何時間続くか」、「雨の強さ」です。
    避難場所についてですが、避難小屋は近くにはありません。避難場所にできるのは、岩陰や木の下でしょう。岩陰は赤薙山以降はありませんから、木の下しかありません。木の下でどの程度の避難効果があるかわかりませんが、笹原にいるよりは安全だと思います。
    雨が何時間続くかは素人には判定はできませんが、一般的な夕立であれば2-3時間だと思います。降り始めが正午まえですから、そのくらい避難しても暗くなることはありません。
    雨の強さですが、予測は全くできません。しかし、今回は視界がなくなるほどの雨ではありませんでした。30mm/hを超えるような雨では前方を見ることもできないでしょう。もし、笹原でそのような雨に遭遇したら、どこに逃げれば良いかわかりません。少しでも高い場所で小さくなっているしかないでしょう。もし笹原に入ったばかりなら、コースを戻って樹林帯で避難場所を探した方が良いと思います。
    まとめとしては、今回のレベルの雨では、視界ははっきりしていたので、歩きを続行した方がよかったと思います。避難して、雨が長時間続いていたら悲惨です。
    ただ、樹林帯から笹原に出るなどの環境が変わるときには、現状を正確に把握できるように努めるべきだと思いました。今回はそんなことも考えずに突入してしまいました。しばらくその地点で待機して、雨の状況・雷の状況を少し見定めてから新しい環境に入るべきだったと思います。
  4. 装備は適切だったか。
    難しい問題ですが、もし、雨が長時間続いてどこかに避難する状態だとすると装備の不備は明らかです。テントは日帰り山歩きには大仰としても、ツェルトぐらいは携行した方が良かったと思います。天候によっては、岩陰・木陰で長時間待機する覚悟も必要かもしれません。
  5. 最後にまとめ。
    対策準備は万全に(ザックが重くなっても体を鍛えて)。
    山岳気象など知識は豊富に(知識と経験で判断力をつける)。
    あとは進むのみ、後退するのみ。
    でしょうか。
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2 Responses to 2011年7月10日 赤薙山・女峰山往復

  1. fumikai のコメント:

    7月、シャクナゲが綺麗ですね、コケモモが可愛い!
    台風8号一過には奥日光の山がよさそうですね。
    女峰山は2回、霧降高原からも登っています。この辺り天気が変化、でも一過は一日は持ちそうですね。

    • mituman のコメント:

      コメントありがとうございます。多少の雨は趣があって良いですが、程度ものですね。私が霧降高原で経験した雨は少し強すぎでした。fumikaiさんは筑波山の麓とか。私の家からは筑波山は男体山が右手に見えます。

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